GRACEとは
ジョアン・ハリファックス老師が、ケアする自分自身のあり方や死生観について体験的に探求する「Being With Dying – 死にゆく人と共にあること」というプログラムを、最新の脳科学や認知科学の成果に基づいて整理し、コンパッション(compassion:慈悲心・思いやり)に根ざしたケアのあり方を育むために構築されたトレーニングです。
GRACEはそれぞれの頭文字をとった、5つのパートから構成されます
Gathering attention
注意を集中させる
Recalling intention
動機と意図を想い起こす
Attunement to self/other
自己と他者の思考・感情・感覚に気づきを向ける
Considering what will serve
何が役に立つかを熟慮する
Engaging and Ending
行動を起こし、終結させる
主要参考資料(PDFダウンロード)
①コンパッションとは何か
Joan Halifax老師の論文“Enactive compassion”の翻訳
Halifax, J. (2012). A heuristic model of enactive compassion. Current Opinion in Supportive and Palliative Care, 6, 228–235.
②看護実践におけるコンパッション とは何か
Joan Halifax老師の論文“GRACE for Nurses”の翻訳
Halifax, J. (2013). G.R.A.C.E. for nurses: Cultivating compassion in nurse/patient interactions. Journal of Nursing Education and Practice, 4(1), 121–128.
③GRACEにおける大事な3つのこと
Joan Halifax老師のブログ“GRACEand 3creeds”の翻訳
④共感とコンパッション の相違点
Singer とKlimeckiによる認知神経科学論文“Empathy and compassion” の翻訳
Singer T, Klimecki OM. Empathy and compassion. Curr Biol. 2014 Sep 22;24(18):R875-R878.
訳:藤野正寛 京都大学オープンイノベーション機構 特定助教
ジョアン・ハリファックス老師について
仏教指導者、禅僧、人類学者。米国ニューメキシコ州サンタフェにあるウパーヤ禅センター創設者・主管。医学人類学で博士号を取得。アメリカ国立科学財団で映像人類学の特別研究員、ハーバード大学で医療民族植物学の名誉研究員、米国議会図書館の特別客員研究員も務めてきた。また、ウパーヤ禅センターによる、刑務所でのボランティア活動、ネパールにおける移動診療の活動をはじめた人物でもある。